筑波大学微分幾何学セミナー
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4月14日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 D棟509 | 田崎 博之 氏(筑波大学・数学域) |
コンパクト型Hermite対称空間の二つの実形の交叉III 概要: 2010年1月の一回目と2012年6月の二回目の同じ題名の講演で、コンパクト型Hermite対称空間の二つの実形の離散的交叉が対蹠集合になることおよび既約の場合の交叉の性質、既約ではない場合の実形の分類、二つの実形の組合せの分類および二つの実形の交叉の性質などに関する田中真紀子さんとの共同研究の成果を解説しました。 今回の講演では、正則等長変換の不動点集合と二つの実形の交叉との関係、二つの実形の交叉が離散的になるための必要十分条件、二つの実形の離散的交叉がある種のWeyl群の軌道になるという井川治さん、田中真紀子さんとの共同研究の成果について解説します。コンパクト型Hermite対称空間がコンパクトLie群の随伴軌道になることを利用して 今回の成果を得たことがこれまでの手法とは異なります。これは二つの実形の離散的交叉が対蹠集合になることの別証明も与えていて、複素旗多様体の場合への一般化の道も開きました。 |
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5月26日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 D棟509 | 高橋 正郎 氏(久留米高専) |
複素射影直線から複素2次超曲面への正則等長埋め込み 概要: 球面への極小埋め込みに関する定理を,最近,長友氏がグラスマン多様体への調和写像の場合に拡張した.その定理を利用して,複素射影空間から複素2次超曲面への正則等 長写像を分類した.なお,この研究は Oscar Macia 氏,長友 康行 氏 との共同研究で ある. |
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6月2日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 D棟814 | 櫻井 陽平 氏(筑波大学) |
重み付きリッチ曲率が下に有界な境界付き多様体の剛性 概要: 重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多 様体に対して、いくつかの剛性定理を得たので報告する。特に、そのような境界付き リーマン多様体上の重み付きpラプラシアンのディリクレ最小固有値に関する剛性定 理について詳しく解説する予定である。 |
10月27日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 D棟509 | 田丸 博士 氏(広島大学) |
Milnor-type theorems for left-invariant metrics 概要: 3 次元 unimodular リー群の上の任意の左不変計量に対し, 「Milnor 枠」と呼 ばれる良い正規直交枠が存在することが知られている. 本講演では, unimodular でないリー群や高次元のリー群に対して, 同様の正規直交枠を構成する方法につ いて紹介する. 得られる正規直交枠が良いものになるかどうかは分からないが, 構成する手法そのものは任意のリー群に対して適用できる. また, 我々の手法 は, 非コンパクト対称空間内の部分多様体論と密接に関係する. 本講演の内容 は, 主として橋永貴弘氏 (北九州高専) との共同研究により得られたものである. |
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7月3日 (水) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 | 梶ヶ谷 徹 氏(東京電機大学・工学部 数学系列) |
離散調和写像による曲面の一意化 概要: 任意の重み付き有限グラフXから種数2以上のリーマン面SへのSを充填する連続写像f:X→Sに対し,fのホモトピー類とS上の双曲計量全体の中にディリクレエネルギーを最小化する離散調和写像と双曲計量の組が(適当な同一視の元)一意的に存在することを示す. また, グラフにある種の対称性がある場合に, この離散調和写像と双曲計量の具体的な例を構成する.本講演は, 田中亮吉氏(東北大学)との共同研究に基づく. (本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。) |
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12月2日(火)~12月4日(木) 自然系学系棟 D棟509 | 加藤 信 氏(大阪市立大学) |
集中講義 概要: 三次元 Euclid 空間内の埋め込まれた end のみを持つ 有限全曲率完備極小曲面、いわゆる n-noid について、 特に flux 公式を始めとする均衡条件に関わる 研究の流れを概観したいと考えています。 予定している内容は次の通りです。 1.Enneper-Weierstrass の表現公式 2.Flux と torque の定義 3.Rosenberg-Toubiana(1988) の仕事 4.Perez-Ros(1996) の仕事 5.Perez(1998) の仕事 6.Traizet(2002,2004) の仕事 7.Flux 公式の逆問題 8.Cosin-Ros(2001) の仕事 9.種数 1 の場合 10.相対 weight を巡る話題 11.Flux 写像と index, nullity |
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2月9日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 D棟509 | 丹下 基生 氏(筑波大学・数学域) |
スライス-リボン予想とその幾何的アプローチ 概要: 3次元球面上の結び目で、4次元球体内に滑らかな埋め込まれた円盤を張るものをスライス結び目という.一方、3次元球面内のリボン特異点のみからなるはめ込まれた円盤の境界となる結び目をリボン結び目という.リボン結び目は自然にスライス結び目であるが、その逆が成り立つかどうかは提案されてから60年以上未解決であり、スライス-リボン予想とよばれる.この講演では、この予想の概要とその難点について説明したあと、Hassによるスライス-リボン予想と極小曲面との関係について説明し、予想の幾何的アプローチを探る.また、講演者と安部哲哉氏(大阪市立大学)との共同研究で得られたスライス円盤の 具体的記述方法についても説明する. |